「荒城の月」によせて

日本歌曲連続演奏会#67

21日の日曜日は、日本オペラ協会の「日本歌曲連続演奏会」が新百合ヶ丘で催され、今回は大賀先生の米寿のお祝いのコンサートでもありました。

プログラムは、大賀先生の好きな歌を作曲家ごとに古い順に28人の歌手が演奏していく、というものでしたが、バラエティに富んでいて、最後まで飽きることがありませんでした。

感動したり、大笑いしたり。

それぞれの歌に、深い「思い」のようなものが込められていて、どの曲も味わい深いものでした。

日本語だからダイレクトに伝わってくる、ということもあると思います。

 

コンサートも終盤になり、折江監督の歌われた「小さな空」(武満徹作曲)は、聴いているうちに涙が止まらなくなりました。さらに追い打ちをかけるように、大賀先生が「荒城の月」(瀧廉太郎作曲)を歌われると、何ともいえない寂寥感にさいなまれて、自分が何に対して泣いているのか、最後にはよくわからなくなりました。

 

そういえば、私の亡き母も「荒城の月」が好きで、よく歌っていました。

記憶が曖昧になり、いろんなことができなくなった晩年も、「荒城の月」だけは歌っていた母。

母の頭の中には、どんな月が見えていたのだろうか・・・と、ふと思う。

 

同じ歌でも歌い手によって、さまざまに情景は変化します。

歌曲は、その歌い手の人生そのものなのだなあ、と思います。