日本画の巨匠を観に行く

近代美人画の巨匠と言えば、「西の上村松園、東の鏑木清方」と言われているそうだけど、ラッキーなことに、この二人の展覧会を両方やっていた。

病み上がりで心が弱っている私は、押し出しの強い西洋絵画とか、どんどん問題提起してくるモダンアートとかは、見ているとなんだかつらいので、今回は日本画。

 

まず広尾にある山種美術館。

開館55周年記念「上村松園・上村松篁-美人画と花鳥画の世界-」。

ほとんどの作品が山種美術館所蔵なのだ(驚)、借り物じゃなくて。

 

松園の作品は、とにかく美しく、上品な色気がある。人物の表情もしぐさも、髪の毛も髪飾りも、着物の色も柄も、隅々まで精緻に描かれている。

どんどん近寄って見てしまう。

そしていつまでも見ていられる。

嬉しいことに、「娘」が撮影可となっていたので、載せておく。

針に糸を通そうとしている「娘」の真剣な表情とか、愛らしい口元とか、ほんのり色づいた指先とか、もう萌萌である。

私の好きな「牡丹雪」についても(写真なし)。この作品は、雪だけの空間が広く取られていて、構図的には一瞬「え?」って思うのだが、それがかえって芝居の一場面を切り取っているようで、すごいんである。静止画なのに動画な感じ。

 

帰りに、1階の喫茶で今回の展覧会をモチーフにした和菓子をいただきました。

「誰が袖」というのを選んだのだが、和菓子も美しく、美味しかった。

 

そして竹橋にある東京国立近代美術館。

没後50年「鏑木清方展」。

清方のほうは、美人画というだけでなく、その時代の風俗というか、庶民の生活までをも描いている。

人物にしてもその性格まで伺えるというものだ。

お札で見る樋口一葉は、無機質な宇宙人みたいな感じだが、清方の描いた樋口一葉は、意志が強そうで、お札よりちょっと美人だった。

目玉となっていた「築地明石町」「新富町」「浜町河岸」はやはり見ごたえがあって、この3枚が同時に見られるのは嬉しいことだ。

歌舞伎(特に道成寺)を題材にした作品にも心惹かれた。

 

今回二人に共通して思ったのは、60歳を過ぎてから、素晴らしい作品をたくさん描いているということだった。

円熟期に入り、なおかつ精神的に若くないと、このような色気のある作品は描けないだろうと思う。

 


和のあかり 2021

「和のあかり×百段階段」。

目黒雅叙園の百段階段を使った催し物の中では、3月の「ひな紀行」と並んで私の好きな展覧会です。

見に行ったのはちょっと前のことになるのですが、やはり素敵なイベントだったと思うので、書くことにしました。

昨年2020年は中止になってしまったので、2年ぶりの開催となります。

 

この展覧会、とにかくどこを撮影しても綺麗。

SNSに挙げる予定がなくても、どんどん写真が撮りたくなり、スマホが「和のあかり」でいっぱいになります(笑)

この2年間で減ってしまった「美しいものを見に行く」という経験が、多少なりとも満たされる。

 

折り紙の森に迷い込んだような最初の部屋は、床にオブジェの光が映り込み、涼しげな湖のよう。

次の部屋は、かぐや姫がテーマ。

もともとゴージャスな雰囲気の漁樵の間ですが、朝顔のような色合いの和傘、豪華絢爛な打掛、七夕飾り、長持(ながもち)の中の「蓬莱の枝」と、昔話の世界が一気に再現されます。

えーっと、かぐや姫が所望した宝物は「蓬莱の枝」と残りの4つは何だっけ・・・。

とかいろいろ考えながら、階段を上ります。

途中の階も、光と影が織りなす、懐かしいような温かい光に癒されながら、ゆったりと鑑賞することができました。

最上階は、山口県柳井市の「金魚ちょうちん」に壁一面が埋め尽くされていました。

「金魚ちょうちん」は「和のあかり」の常連のような気がします。が、良いんです!この金魚ほど、このイベントにふさわしいオブジェはないのだから。

一匹だけ「東京2020」のエンブレムが入った紺色の金魚ちょうちんが寂しげに飾られていて、過ぎ去った今年の夏にしみじみと思いを馳せました。

また日本全国自由に旅できるようになると良いなあ。海外の人にも「和のあかり」を楽しんでもらえるようになると良いですね。

 

一昨年と比べると、大掛かりな展示は減ったように感じましたが、音だったり、香りだったり、風だったりと、五感を刺激するような内容はさらに充実していると感じました。

コロナ禍であっても充分な対策を取って、このようなイベントを開催してくれる会場に感謝したいと思います。今年は見られて良かった。

 


ゴールデンウィークに出来たこと

皆さん、ゴールデンウィークはどうされていましたか?

私は、美術展にたくさん行く予定だったのですが、都内の美術館は緊急事態宣言のために全滅。

「鳥獣戯画展」も中止、「あやしい絵展」も中止。

悲しい。

美術館なんて、オンライン予約で入場制限しているんだから、「密」になるはずもないと思うのですが。なぜだー。

次いつ見られるかもわからないのに。

 

デパートも大型商業施設も閉まっていたので、お食事も散財(?)もすることができない。

久しぶりに会った友人とは静かにお茶をしたり、その辺を散歩したりしました。

街には意外と人が多かった・・・。

奈良に行ったつもりの「奈良漬」と、金沢に行ったつもりの「甘酒」を買いました。

 

着付け教室は開いていたので、少し練習に行きました。

他装(人に着せられるようになる)の練習ですが、新型コロナが流行り始めてからは、他人に着せることが難しくなっています。なので、着付け教室のトルソーちゃん相手に練習です。

トルソーはどんなに時間がかかっても文句を言わないけれど、「苦しい」とも言ってくれないですね(笑)

他装はまだまだですが、練習すると、自分の着付けにも役立つなあ、と思います。

あっという間に季節は廻り、袷から単衣の季節に向かっています。

 


松濤から神泉を歩いてみた

久々の松濤美術館。
舟越桂氏の「私の中にある泉」を1月31日までやっているのだ。

チラシを飾っている「水に映る月蝕」を見て心惹かれ、是非とも行きたいと思っていた。
題名の付け方も素敵だと思う。

 

舟越氏の彫刻作品に使われている木材は楠で、初期は眼も同素材だったようだが、途中から眼球のみ大理石が使われ始め、その光は不思議な力を帯びている。

初期の作品にはモデルがいて写実的なのにもかかわらず、どこか抽象的な感じがする。素朴で静かで理知的な雰囲気の人物ばかりなのだが、皆何か物言いたげである。

 

後半からは、手が背中から生えたり、人間と動物の両方の特性を持っていたりと、異形の姿を取るようになってきた。

しかし、この表現によって何かが解き放たれたようである。

災害後の虚無感、戦争への怒りなども、作品に盛り込まれるようになってきた。

 

舟越桂氏本人だけでなく、家族の描いたものもあった。芸術家の一家なのだ。木の切れ端で作ったオモチャも展示してあった。

 

帰りは、神泉にある「ターンテーブル」という徳島県の食材を使ったレストランに立ち寄ってみた。

県産の野菜が丁寧に調理され、おしゃれな空間で提供されていてびっくりである。

ドレスアップした郷里の友人に会ったような気がした。

朝食やランチ、テイクアウトもやっているみたいなので、また来てみようかと思うのだった。

 


偶然の美術展、ドレス・コード?

昨日は「ドレス・コード?-着る人たちのゲーム」に行ってきました。

 

午前中に来週のコンサートのための音合わせをした後、お昼でも食べようかと東京オペラシティに入ったところ、偶然にも友人夫妻とばったり。

待ち合わせたわけでもないのに、この日この場所この時間に遭遇するというのはすごい。どちらかが10秒でもずれていたら、気が付かなかっただろう。

友人夫妻はちょうどこの美術展を観に行くところだったらしい。

友人にも美術展にも引き寄せられたのだと思い、私も気になっていた展示だったので、便乗させてもらうことにした。

 

新型コロナが拡がってから、大きな美術展はだいたい予約制になっている。思いつきで立ち寄るのが難しくなった半面、時間ごとの人数制限があるから、かえってゆっくり観られたりする。

 

「ドレス・コード?」は一言で言うと、「変わった服がたくさん展示してある」美術展だった。

展示してある服もそうだけど、見に来ているお客さんたちもなかなか個性的な服装の人が多く、かなり作り込んだファッションの人もいた。

普段着で来てしまった自分が、地味で、まるで工夫が足りない人のようでありました(笑)

 

見る分にはどの服も面白く、インスピレーションを得ることが出来る。

服は楽しい。

見て回りながら、「今度舞台制作をするときには、こういうアイディアは使えるかも」と頭の隅で考えている自分がいて、今でも私はいろいろと諦めていないのだな、と思うのだった。

 


雨の庭園美術館

久々に、本当に久々に、美術館に出かけられました。

「美術館に行く」という行為が、こんなに特別なものになるとは。

 

東京都庭園美術館、開催中の展示は「東京モダン生活」。

年に一度の建物公開展で、旧朝香宮邸そのものに焦点を当てた展覧会です。

写真撮影もOKだったので、貴重な建物内を撮ることができました。

 

レトロで上品な配色の室内は、壁や床の細やかな細工まで、部屋ごとに全部違う、凝った作りになっており、設計者のこだわりが感じられました。それでいて全体を流れる世界観は統一されている。当時の最高の技術を持って作られたのでしょう。

質の良いものは、時を経ても劣化せず、かえって熟成するのだな、と思いました。

人間もこうありたいものです・・・。

 

保存状態が良く、テキスタイルがそのまま残っている部屋もあったのは驚きです。

復元となった部屋も、元のテキスタイルがちゃんと額に入って飾られており、建物ができた昭和初期に思いをはせることができました。

 

個人的には、ロイヤルコペンハーゲンの3匹のペンギンが気に入りました。

めっちゃくっついてる・・・。三密。

このペンギンが展示されている部屋には、フランスのインテリアデザイナー、アンリ・ラパンがデザインした、鮮やかなブルーの壺も展示されていました。

この壷がなんとも素敵なんです。

友人が、この2つと私がたまたま一緒に写っている「奇跡のショット」(笑)を撮ってくれましたので、載せますね~。

 

何か派手な展示物があるわけではありませんが、落ち着いた雰囲気の館内を、静かに時間が流れていく、というひとときでした。

少しずつまたこのような時間が持てるようになったことに感謝したい。

 


今年も「和のあかり」展に行ってきた

目黒雅叙園の「和のあかり×百段階段」に行ってきました。

百段階段のイベントは季節ごとにいろいろあるけれど、私はこの「和のあかり」展が一番好き。

 

まず、最初の部屋は「十畝の間」。

目の覚めるようなコバルトブルーを背景に、繊細な細工を施された竹あかりが黄金に輝いている。それは仏像を見ているようでもあり、また都会の夜景を見ているようでもあって、不思議な感覚に包まれました。

最初の部屋から、すっかりノックアウトされてしまいました。

 

次の「漁樵の間」では、真っ赤なランタンフェスティバル。

豪華絢爛な部屋を、鯉や龍が幻想的に泳いでいて、まるで竜宮城のよう・・・。

こういうお祭りが催されるという長崎の冬に、是非とも行ってみたいものです。

 

次の部屋は「和傘」を使ったあかり。

和傘の色が塗の床にも反射して、部屋中に花が咲いたようです。

この色彩はどこかで見たことがあるなと思っていたら、夏の朝に咲いている朝顔にも似ていました。

 

昨年私が大注目していた、階段に寝かされていたこけしたち・・・は今年は無かった・・・。

「こけしスイーツ」として展示にはあったので、その中で一番気に入ったものを写真に収めました。

お誕生日ケーキです。

 

今年は、部屋いっぱい使うような、大掛かりな展示が多かったような気がします。

全部屋撮影OKな上に、インスタ映えするような美しいスポットが満載なので、みんな写真を撮りまくっていました。

浴衣女子もちらほら居て、見ているだけで嬉しい。暑いけれど着物でも出掛けられるこういうイベントに、若い人も参加してほしいなと思う。

 


塩田千春展@六本木

是非とも行ってみたいと思っていた、塩田千春さんの個展「魂がふるえる」(2019年6月20日~10月27日)に行ってきました。

 

入り口からして、ふわふわした羽のような舟《どこへ向かって》に誘われて、わくわく。

赤い毛糸が毛細血管のように張り巡らされ、ずっとそこにいると、身体の中にいるようにも外にいるようにも感じられる《不確かな旅》。

焼かれたピアノが、観客席と無数の細く黒いリボンで繋がっていて、それが煤のようにも、立ち上る音のようにも見える《静けさの中で》。

天井から赤いロープで吊るされたスーツケースだけが川の流れのように旅をしている《集積-目的地を求めて》。

 

森美術館の広い空間を利用した、これらの大きなインスタレーションは圧倒的です。その他の小さな展示も凝っていて、独自の世界観を放っていました。

 

撮影禁止エリアには、舞台美術に関する展示もあり、塩田千春さんがワーグナー作品のオペラなどの舞台美術も手掛けていることを知りました。

なるほど、と腑に落ちたような気がしました。

なんとも言えない不安感、不協和音、それらが記憶を呼び覚ます、なおかつスケールの大きな作品、ぴったりかも。

 

それにしても、夢に出て来そうです。

 


百段階段でひな紀行 2019

先日、目黒雅叙園の百段雛まつりに行ってきました。

今年の「ひな紀行」は、青森・秋田・山形。

「ひな紀行」は今回で10回目ということですが、やっと来ることができました。

 

藩主や旧家が所有していたというお雛様は、伝統文様や家紋などの入った特注品。

どれも手が込んでいて、小さなものは繊細で、大きなものは迫力があります。

撮影は基本的にNGでしたが、「漁樵の間」の山形のお雛様だけは撮影OK。

 

つるし雛は、五穀豊穣や子孫繫栄の願いを込めた細工物がたくさん吊り下げられていて、かわいらしい。ひとつひとつ見ていくと、「祈り」や「その土地の文化」が伝わってきて、感慨深いものがありました。

 

帰りは、目黒のフルーツパーラーで集合して、ケーキ。

一足早い雛まつりかな。

 


「いけばな×百段階段」に行ってきた

昨日は、ホテル雅叙園東京のイベント「いけばな×百段階段」に行ってきました。

夏の「和のあかり」に続き、百段階段は2回目の訪問です。

「和のあかり」で階段に寝かされていたこけしたちは、どこかにしまわれて・・・。

 

ここは、もともとの室内装飾自体が大変豪華。

それだけでも充分見応えがあるのですが、加えて今回の展示は、秋の花たちが芳醇で濃厚な色彩を放っている!

見ているだけで、とても贅沢な気分にさせてくれます。

大小いろいろなお花の宇宙があったのですが、それぞれに独自の世界観があり、細かいところまで凝っているなあと思いました。

 

外国人のお客様も多くて、その方々がいけばなに見入っている姿には、日本人としてはちょっと誇らしい。

 


京都・醍醐寺の美術展 2018

醍醐寺展 六本木駅の通路のポスター

次の美術展は、サントリー美術館「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」です。

仏像の他に、屏風や日記も多数展示されていて、充実の内容でした。

 

入っていくとまず、ポスターにもなっている如意輪観音坐像が!

美しいフォルムと、なんともいえない癒しモードの表情にうっとり。

オーラがあるというか、いつまでもそばに居たいような、素敵なお姿でした。

ですが、ここにばかり居るわけにもいかないので、先に進みます。

 

屏風や曼荼羅図もどんどん見て、快慶作の不動明王坐像です。

そんなに大きな仏像ではありませんが、精緻な作りで、細かい表情もよくわかります。

快慶作のお不動様は、思ったより優しげで、ダメな庶民も救済してくれそうでした。

 

続いての五大明王像のお部屋は、偶然なのか背景が紅白で、おめでたい感じになっていました。

ウルトラの星から来たのではないかと思わせる、ぎょろりとした目の張り出し。

すらりと伸びた手足も、その当時の日本人をモデルにしたとは考えにくい。

大威徳明王さまだけは水牛に乗っているのですが、その水牛も、ちょっとその辺では見ないような変わった感じの牛でした。

この牛もウルトラの星から連れてきたのかも。

 

ホールには、薬師如来像と両脇侍像(日光・月光菩薩)。

かなり大きな仏像で、迫力があります。

運ぶの、大変だっただろうな。

三像の後ろには、緑色の紗幕が掛かっているのですが、仏像の色とも調和してオシャレ。

こういう展示の仕方も、サントリー美術館はセンスがあります。

 

会場の壁には、アクリルケース(?)に入った桜の花びらが、ところどころに埋め込まれていて、なんだろうと思っていたら、住友林業さんが作った、豊臣秀吉ゆかりのしだれ桜のクローンでした。

ここにきて、まさかの現代テクノロジー。

「醍醐の花見」では、この桜吹雪が舞う中を、晩年の秀吉が栄華を誇り、宴をしたのでしょうか。

しかしその半年後には、秀吉はこの世を去っているのです。

なんと儚い夢でしょう。

 

醍醐寺の美術展はバラエティに富んでいて、それがセンスよく配置してあり、落ち着いた展示会だと思いました。

この展示会も全期(~10/15)と後記(10/17~)で展示替えをするそうなので、もう一度足を運びたいと思います。

 

「快慶・定慶のみほとけ」展 2018

快慶・定慶のみほとけ 入り口のエレベーター

昨年の秋は、ひたすら徳島の家の片づけをしていました。

今年の秋は、時間ができる予定だったので、京都か奈良に行こうと妄想していたのに、風邪が長引いてしまい、断念・・・。

 

定期的に古い建造物を見ないと禁断症状が出る私は、東京で開催されている仏像展を見に行くことにしました。

まず、上野の東京国立博物館でやっている「京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」展。

 

秘仏本尊の釈迦如来坐像と、快慶作の十大弟子立像、定慶作の六観音菩薩像などが東京にいらしています。

御本尊様まで東京に来ちゃって、京都のお寺は大丈夫なのかしら・・・。

 

ホームページを見ると、釈迦の十大弟子の「みほとけ総選挙」なるものが行われていて、私はちょっとひいちゃったのですが(汗)、会場に来てみると、至って真面目な展示。

素敵な鎌倉彫刻にわくわくします。

 

釈迦如来坐像と十大弟子立像がひとつの部屋に展示されていて、しかも360度ぐるぐる見られるのも、実際のお寺ではできないことだと思いました。普通は仏像は正面から拝むものなので、恐縮しましたが、せっかくの機会なので後ろからもジロジロ見せていただきました。

特に快慶作の十大弟子立像は、それぞれのキャラクターが立っていて、細部まで楽しめるのでオススメ。

 

お隣の部屋の六観音像は、どの観音様も美しくて壮観でした。

聖観音さまだけはなんと撮影可能。恐縮しましたが、せっかくの機会なので撮影させていただきました。

六観音像は、会期前半(~10/28)は光背をつけたお姿で、会期後半(10/30~)は光背を取り外したお姿で展示するのだそう。

私は、光背の透かし彫りが好物なので、前半に来て良かったです。

 

展示内容自体はそんなに多くはないので、割と短時間で見られましたが、なかなか攻めている感じの仏像展だと思いました。

 

「和のあかり」展に行ってきた

目黒のホテル雅叙園で開催されている「和のあかり×百段階段2018」に行ってきました。

「和のあかり」というイベントは、ここ数年やっているようで、以前から素敵だなあと思っていたのですが、なかなか機会がなくて

・・・今年ついに念願が叶いました!

目黒から送迎バスがあったので、酷暑だし、坂道だし、着物だし、ということで、利用させていただきました。

 

中に入ると、ただでさえ豪華絢爛な百段階段に、日本全国津々浦々から集められた様々な光と色彩が充満しています!!

どの部屋もとても充実していて、このイベントの人気があるのがわかるような気がしました。

ものすごく綺麗でしたが、夏休み中の土曜日ということもあってか、ものすごく混んでいました(汗)

 

私が特に気に入ったのは、自然界の素材をうまく使った灯りで、神秘的で、とても心が癒され、ひとつひとつに見惚れました。

 

写真に撮りたいものが多すぎ!(笑)

 

また、会場のあちこちに「こけし」が象徴的に置いてあるのですが、百段階段の各段の右端にも、「こけし」が布団で寝かされていました。

なかなかシュールな光景です・・・。

 

雅叙園の中でお茶をしようとしたのですが、どこも混んでいたので、恵比寿に移動して、ハイボールと餃子。

 


ショーメを美術館で観る@丸の内

このあいだ、三菱一号館美術館のサポーター会員になっている友人に連れられて、「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界-1780年パリに始まるエスプリ」を観に行ってまいりました。

 

今回は宝飾品です。

・・・といっても、材料費とかそういう細かいことは度外視の、皇帝や貴族からの特注品!

 

「これは買ったら幾らくらいするのか?」などという中途半端な気持ちが吹き飛ぶような展示でした。

純粋に、目の保養として、そして教養として、楽しめます。

 

吸い込まれそうな輝きに満ち満ちた、宝飾品にうっとり。

デザインにもコンセプトがあり、良き時代のパリに思いを馳せることができます。

音声ガイドの谷原章介さんの声も、心地いい。

ひとつひとつにも魅了されたのですが、全体の展示の仕方に、驚きとストーリー性を感じました。

 

特に、サロンで選ぶ時のティアラのサンプルがずらーっと並んでいるお部屋は、壮観。

 

どのティアラも素敵でしたが、ひとつだけ選ぶとしたら、今回の展示会のシンボルにもなっている「麦の穂のティアラ」が欲しいかな(笑)

 

これを発注していた、ナポレオンの皇妃ジョゼフィーヌは、センスの良い人だったんでしょうなあ(遠い目)

 


ルドン展@丸の内

ルドン~秘密の花園 入り口

昨晩は、夜の美術館へ。

美術館のサポーター会員になっている友人に誘ってもらいました。

この三菱一号館美術館は、近代フランス美術を中心とした展示に特徴があるというだけでなく、建物自体もオシャレで、雰囲気をまるごと楽しめる美術館です。

 

ルドンはフランスの画家で、作曲家のショーソンなどとも交流があったようです。音声ガイドのバックに流れているショーソンやドビュッシーなどは、ルドンの後期の作品とぴったりでした。

ふむふむ、こういうイメージで歌えば良いんだな、と逆に思ったり。

 

ルドンの絵は、50歳くらいまでは黒っぽくて、眼球のお花だったり(!)、細胞に顔があったりと、怖い絵が多い。

妖怪っぽくて、これはこれで惹きつけられましたが。

 

展示も終盤に差し掛かったころ、照明を落とした小部屋に鮮やかに浮かび上がるパステル画「グラン・ブーケ(大きな花束)」!!

・・・しばし呆然としてしまいました・・・。

ただの綺麗な写生画じゃなくて、うまく言えないのですが、「眼球のお花」の妖しい要素がちゃんと残っているんですね。

 

この絵も含めて十数点は、ブルゴーニュ地方に住んでいたドムシー男爵という人のお城の食堂に飾られていたそうです。

それをまた集めて、日本で再現するというのは、すごい。

それにしても、こういう場所でお食事をしていたドムシー男爵って、いったいどんな人だったんだろうか。

奥様も超美人だし。(肖像画の展示あり)

 

ルドンのコレクションは、フランスのオルセー美術館の他には、岐阜県美術館が多かったです。

日本の地方の美術館には、こういう特徴のあるコレクションをしているところがあって、頑張っている。

いつか岐阜にも行ってみたい。

 

草間彌生展2017

先日、国立新美術館の「わが永遠の魂」に行ってきました。

この展示会は意外と長くやっているので(とはいえ、5/22までです)、3月と5月の2回、観に行くことができました!

草間先生の作品は、何度観ても新しい発見がありますね~。

会場にもエネルギーが充満しており、元気と勇気がもらえました!!

 

入って最初のほうに、今回のテーマである「わが永遠の魂」の部屋があり(約2メートル四方のカンヴァスに、アクリル絵の具で描かれたカラフルな連作が、なんと130点!すごい量です)、色の洪水のような、めくるめくスペース。撮影可能エリアだということもあって、すっかり興奮した私は、1回目の大半の時間を、この部屋で過ごしてしまいました(汗)

 

最近の音声ガイドは凝っていて面白いものが多いのですが、草間彌生展では先生ご自身の解説、朗読や、歌までもが収められており、他の追随を許さないクオリティだと思いました。

借りて良かった。

 

屋外では、巨大なカボチャが、六本木の夜景に妖しく映えていました。

 

2回目に行ったときは、初期の暗めの作品や、ソフト・スカルプチャで作られたドレッサーやボート(このボートは素晴らしいですよ)なども、落ち着いて観ることができました。

 

小さな光が無数にきらめく中を歩くことができる「無限の鏡の間」は、いつまでもそこに居たくなるような不思議空間でした。

おなじみのモチーフの屋外展示「南瓜」もそうですが、体験型というか共存型の作品も、稀代の天才を親しみやすいものにしていると思いました。

グッズはむしろキモカワと言っても良いのに、ショップは長蛇の列。他の作家ではあまり考えられないことです。

 

1回目に見損ねた屋外展示「木に登った水玉2017」(外の木が、水玉模様の布でぐるぐる巻きに養生されている)もゆっくり鑑賞できました。

 

日本にずっと居たらここまで理解されなかったかも。

 


大塚国際美術館は広いし、すごい

ゴールデン・ウィークは、徳島からの帰り、鳴門の大塚国際美術館に立ち寄りました。

 

ここの美術品は、すべて陶板に焼き付けたレプリカ(いわゆるニセモノ)ですが、そんじょそこらのニセモノではありません。全部実物大だし、色も精巧に複製してあるし(筆のタッチまで!)、1,000点以上!

 

うまく言えないのですが、「美術の教科書やカタログが、実物大3Dになった」という感じです。

子どもの頃、そういう妄想を抱いたことはありますが・・・。

 

まず、システィーナ・ホールに入った瞬間、そのスケールにびっくりしました。

トルコのカッパドキアの洞窟寺院なんかは、そのまま持ってきた感じだし。

よくこんなものを作ろうと思ったなぁ、とひたすら感動です。

中でも、美術館紹介の印刷物にも使われている「スクロヴェーニ礼拝堂」は、青色がとにかく綺麗で、どこかから静かに光も差し込んでいて、中にいるだけで癒されました。

また、「最後の晩餐」を復元前と復元後の2枚、同じ部屋に並べて展示したりできるのも(驚)、レプリカならでは、です。

 

複製ですから、本物が持つ独自の「エネルギー」や「圧力」のようなものは無いのかもしれませんが、世界中の有名絵画が実物大で一堂に会しているというのは、やはり圧巻です。

ここで気に入った画家の作品に出会えたら、実物を観に行きたいと思う人も多いでしょう。

 

B3~B2階で写真を撮って遊んでいたら、2階の現代美術のコーナーに来るころには、閉館時間近くになってしまいました(汗)

またリベンジしないと、ですかね~。

 


ダリ展 2016秋

長かった秋風邪がようやく落ち着き、先日やっと「ダリ展」に行くことができました。

 

夜の六本木、脇目も振らずに美術館へGO!

国立新美術館は建物の外観もオシャレで、漆黒の夜に映えています。

 

今回の展示は、ダリのいろいろな時期の絵画が一堂に会している、ということの他に、関わっていた映像作品が見られること、舞台衣装のスケッチや宝飾品もあること、などが特徴かなと思います。絵画だけにとどまらないダリの芸術活動を俯瞰するには、良い展覧会だと思いました。

 

「メイ・ウエストの部屋」の再現もあり、写真撮影可だったので唇ソファを横から撮りました(正面は混んでいたもので)。こんなふうにあえて撮影可能のエリアを設けることで、SNSなどでも拡散するだろうし、全体的に「ダリのテーマパーク」的な工夫が見られます。時代を反映していますね~。

 

映像作品では、ダリが友人でもあるルイス・ブニュエルと制作した「アンダルシアの犬」、それからなんと、ディズニーとコラボしている異色の短編アニメーション「デスティーノ」を観ました。

「アンダルシアの犬」は予想通りのシュールな内容で、イメージ映像のコラージュのようなものです。ストーリーを理解したい人には不向きかも(笑)

「デスティーノ」は、ディズニーなのにダリのエッセンスが違和感なく溶け込んでいて、変わった作品でした。

 

ダリの宝飾品はとても素晴らしいもので、「トリスタンとイゾルデ」などほんの数点ではありましたが、久々に見ることができて、とても嬉しかったです。

30年近く前でしょうか、秋葉原の電気屋さんのコレクションでダリの宝飾品が展示されており、とても贅沢だった記憶があります。なぜここにダリ?みたいな。

あの、ルビーでできた唇や心臓は、今はダリの生まれ故郷に戻っているのでしょうかね・・・。

 

国立新美術館で同時開催していた、他の美術展もぐるぐると見て回りました。

パワーのある美術品のおかげで、少しは元気になれたかな。

 


激混みの若冲展2016

2016若冲展

連休中の話になりますが、ちょうど一週間前の5月6日、上野の東京都美術館で開催されている若冲展に行ってきました。雨の金曜日の夜は、少しは空いているかと思いきや、全く甘かったです(>_<)。普通の美術展だと、金曜の夜はお客さんが少なくてゆっくり見られたりするんですがね、これは無理でした・・・。

 

Twitterで混雑状況がある程度わかるので、覚悟して行きました。

混んでいても、観たいものは観たい。

 

チケット買うのに10分、会場に入るのに50~60分です。閉館は午後8時のところ8時30分と延長されましたが、やはり時間は足りなかったです。

 

でも、実物をひとめでも見ることが目的だったので、行って良かったと思いました。

構図といい、色使いといい、それはそれは素晴らしいもので、どこから光が当たっているのだろうかと思うような鳥の羽の輝き、魚の動きもまるで生きているようでした。

 

特に釈迦三尊像と動植綵絵が飾られているフロアーは圧巻です。釈迦三尊像を中心に、ぐるりと取り囲むように動植綵絵が飾られているのですが、その前に立った瞬間、もう、胸がいっぱいになりました。若冲は何百年も前に、こうやって展示されることを予測して制作したんじゃないかとさえ思いました。

 

どの絵も近くでゆっくり見たかったですが、ぜいたくですね・・・。

展示が途中で変わるそうだし、もう一度行きたいと思いましたが、期間が1ヶ月と短すぎです・・・。

しかも今日Twitterを見たら、180分とかの待ち時間ではありませんか!

 

先日の思い出を胸に、もう一度行くのは諦めますが、苦労して並んだかいのあった美術展でした。