『ニーベルングの指環』が少しわかった日

「ジークフリート」2017

昨日は、新国立劇場に「ジークフリート」のゲネを観に行く機会に恵まれました。

「ジークフリート」は『ニーベルングの指環』の中の1作品で、この『指環』は、「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」の4作品から成り立っています。

『ニーベルングの指環』は全部上演すると、本編だけでも15時間くらいあるので(!!)、ヨーロッパの歌劇場でもひとつずつか、連続でも4夜とかに分けて上演されているようです。

 

ワーグナーは長い。

 

長さに加えてこちらの知識も無い。そのため、なんとな~く敬遠していたのですが、文学にしろ芸術にしろ娯楽にしろ、この世界観を共有するもの、またここから派生したものがたくさんあることから、『ニーベルングの指環』に関してはちゃんと観てみたいなあと思っていたところでした。

 

上演は午後2時にスタートし、休憩も含めて約6時間。終わったのは夜8時ごろでした。

 

最後まで頑張れるだろうか・・・とちょっと心配だったのですが、それは全くの杞憂でした。

 

すごかった!すごく良かったのです!

もし、今日もう一度見せてあげる、と言われたら、喜んでいくかも。(言われないけど)

 

普通のオペラよりさらに重厚感の増したオーケストラを飛び越えて、劇場の隅々まで響き渡るジークフリート役のステファン・グールドの声。

言葉のひとつひとつが、二階席の手元まで明瞭に飛んできて、感動です。

この役は、最初から最後まで歌いっぱなしの上、スタミナが切れかかる第3幕後半で、眠りから覚めた超元気なブリュンヒルデ(この人もワーグナー歌いのソプラノなので半端ない)との長大な二重唱があるのです。

 

この役を歌える人がそうそういるとは思えない。

ステファン・グールド氏はこのジークフリート役が持ち役で、もう60回以上も歌ってきているという話。そういう人でこのオペラが聴けたということは、とても嬉しいことでした。

 

さすらい人の姿をしたヴォータン(神々の長)役のグリア・グリムスレイの低声も渋くてステキでした。エルダ役のメゾのクリスタ・マイヤーの深い響きも重唱も良かったです。

この日はゲネプロでしたので、カーテンコールでは既に私服に着替えているキャストの姿も見ることができました。

 

いちおうあらすじは調べていきましたが、ワーグナーってオペラの中でなぞなぞ合戦みたいな問答があって、それまでのいきさつがわかるようになっているんですね。親切~~。