メトの『アイーダ』

メトリポリタン・オペラのライブ・ビューイング、今シーズンはアンナ・ネトレプコがタイトルロールを歌う『アイーダ』でスタートです。

 

もっと若いころは軽い声の役も歌っていたネトレプコ嬢ですが、今ではすっかりドラマティック・ソプラノに。

ここまで声の変遷を遂げて、なおかつ世界の第一線で活躍し続けている人も珍しいのではないでしょうか。

 

どの歌唱もひたすら感動しましたが、特に素晴らしいと思ったのは、第3幕のアリア「おお、わが故郷」。絶望したアイーダが、祖国への愛を歌うロマンツァです。

このアリアはめちゃめちゃ難しい。第1幕の「勝ちて帰れ」より難しいと私は思います。ネトレプコは迫力のある歌唱も得意ですが、こんな繊細な表現も完璧なんだと、うるうるしながら聴いていました。

 

幕間のインタビューでは、この役(アイーダ役)をやるのに必要なのは「技術と度胸」だとおっしゃっていました。

ライブ・ビューイングは、幕間のインタビューとか、制作裏話とか、メトの歴史とか、情報が詰まっていて飽きさせないので、トイレに行く時間も惜しい感じです(笑)

 

アムネリス役のアニータ・ラチヴェリシュヴィリ(メゾ)の声は初めて聴きましたが、ネトレプコにひけをとらない素晴らしい歌唱で、これからこのコンビがたびたび観られることになるだろうなと思いました。

 

ライブ・ビューイングの『アイーダ』はとても良かったけれど、これだけ大掛かりなオペラはやっぱり生の舞台で観たいよね、とちょっと思いました。

いつか行けるのかなあ。