クリスマスの第九

12月25日は「第九&ソロイスツ」でした。

第1部はソリストによるガラコンサート、第2部は室内楽アンサンブルと合唱が加わり「第九」の第1楽章と第4楽章を演奏しました。

 

昼過ぎに集合し、リハなども順調に進んで、私は会場や練習風景の写真を撮ったり、差し入れのお菓子を食べたりして、のんきに過ごしていました。

 

ところが、開場してみると、主催側に何かの読み誤りがあったらしく、来客数が定員をオーバー。かなりのお客様が座れないようでした(汗)

開演時刻が遅れ、主催者側からはお詫びと説明があり、一部のお客様には途中から舞台上(!)で鑑賞していただくなどの対応が取られました。

開演前はだいぶ混乱してハラハラしましたが、演奏が始まると徐々に会場の雰囲気も落ち着いていったようです。

私が『アドリアーナ・ルクヴルール』のアリアを歌いに舞台に出て行ったときには、温かい空気に包まれていました。

 

豊洲のシビックセンターホールは、壁面の一部がガラス張りになっており、シャッターを開けると東京の夜景が見えるステキなホールです。

日本に数台しかないという、イタリアのファツィオリ社のピアノが入っています。イタリアから来た、明るい響きのピアノと一緒にイタリアオペラのアリアを歌えるのも嬉しい。

2曲目は『蝶々夫人』のアリアを歌いました。

 

ハプニングのせいでむしろ出演者の結束は強まり、「お客様にご不便をかけた分、楽しんでいただこう」という気持ちが高まりました。

練習が2回しかなかったので、オケや合唱の人とは話す機会がほとんどなかったのですが、ここで一気に打ち解け、「何が幸いするかわからないものだな」と思いました。

 

2部の「第九」はオケも合唱もソリストも、今まで以上の集中力でした。オケや合唱は少数精鋭で、小編成とは思えないくらいのクオリティと迫力だったんじゃないかと思います。

第4楽章が終わった途端、たくさんの「ブラボー」が会場に飛び交いました。

なんだかホッとしました。

 

あのときの高揚感を思い出すと、今でもワクワクして、「歌わせていただいて良かったなあ」と思うのです。

日本の冬にはあちこちで耳にする第九ですが、私は第九を聴くたびにこの日のことを思い出すでしょう。

 

今年のクリスマスは、忘れられないクリスマスになりました。